OD18501
2009/04/22
 8mの車長いっぱいにとったホイールベース部分の2箇所に扉を持つ鹿行特殊車体HDWサービスバス。そのサービスバスの弟分として、当時7mクラスの車長でラインナップされていたのが、このHDWリトルバスであった。平成17年末より導入を検討し、翌年1月、山間狭隘路線を持つ大宮営業所大子派出に新車導入された。
 選定にあたっては、路線の中に急勾配が連続する区間が存在することからノンステップバスの導入は困難と思われ、当初は中扉にリフトを備える日野リエッセの導入が検討されていた。しかしちょうどその時リトルバスが発表され、そのリア/フロントオーバーハングの短さに注目が集まった。「これなら山間部での走破性も問題ないかもしれない。」そう思った担当者は、すぐにメーカーのドアを叩いた。メーカー協力のもと行われた勾配路走行テストの結果、アプローチアングル、デパーチャーアングルともに十分に確保されることが判明、導入が正式に決定した。
 大子派出管内ではもともと利用者数がそれほど多くないことから、これまでもトップドア車両を多数導入している。そのことも、今回リトルバスが1扉であるにもかかわらず導入に積極的であった理由だろう。大子派出管内では、バスが停留所に着いてもすぐにお客様が乗り込んでくることはない。降りる旅客がいないことを確認してから乗車するのが暗黙のルールとなっている。運転士は、乗車してくるお客様に対しては「おはようございます」「こんにちは」などと必ず挨拶するよう指導されている。基本的なことではあるが、こうすることで車内は和やかな雰囲気となり、ひいては車内マナーの向上にもつながっているのだ。ちなみに、乗務員がこれを怠った場合には運賃を頂かないことになっている。このあいさつ運動は沿線の小中学校の関係者からは非常に高い評価を受けており、観光客からお手紙を頂くことも多い。一見不便に見える前のり・前おりのトップドア車両が、近年失われかけている大切なことを思い出させてくれるのかもしれない。

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